2019年度全国盲ろう教育研究会第17回研究協議会の報告

  8月3日・4日、全国盲ろう教育研究会第17回研究協議会を国立特別支援教育総合
研究所にて開催しました。久里浜の海を眺めながらの研究協議会に全国から80名ほどの方が
参加くださいました。盲ろうの子どもたち、ボランティアさんを含めると約120名という方々にお
集まりいただきました。今回の研究協議会実施にあたりましては、国立特別支援教育総合研
究所と筑波大学附属久里浜特別支援学校のご支援、ご協力をいただき、猛暑の中でしたが、
快適な環境の中で研究協議会が実施でき、盲ろう児者のプログラムも進められましたことに感
謝いたします。また、盲ろう児者の活動プログラムの実施にあたりましては、多くのボランティア
の方々にご協力いただきましたこと、心よりお礼申し上げます。

  以下のようなプログラムで実施しました。

【1日目 8月3日(土)】
○開会式 
○海外情報報告  「英国における盲ろう教育実践に関する報告」
    広島大学大学院教育学研究科 学習開発専攻特別支援教育学分野 河原 麻子 氏
○ポスターセッション 
 以下を発表いただきました。
 ・幼稚部入学後の盲ろう児に向けた「周囲の状況を把握しやすい環境づくり」の実践
    広島県立広島中央特別支援学校 平岡 千加子 氏・河原 麻子 氏
 ・大好きな洗面器手洗いから引き出せたもの
    沖縄県立泡瀬特別支援学校 比嘉 典子 氏
 ・触って感じて楽しむかかわりの工夫
    神奈川県立鎌倉養護学校 森 千佳子 氏・高橋 めぐみ 氏
 ・A児にとって分かりやすい活動と環境の設定について
    福岡県立福岡視覚特別支援学校 内山 綾乃 氏・末成 智子 氏
 ・お弁当購入プロジェクト
    筑波技術大学大学院 森  敦史 氏
 ・先天盲ろう児教育資料データベース
    筑波技術大学 岡本 明 氏
 ・ふうわのココロ
    ふうわ・CHARGEの会 田畑 真由美 氏
 ・兵庫盲ろう児サークル「ふたば」の取り組み
    兵庫盲ろう者友の会 森 悦子 氏

○懇親会 

【2日目 8月4日(日)】 
○定期総会  
○実践報告 「先天性盲ろう児者の生涯の学びを支援する地域活動」
  徳島県立徳島聴覚支援学校教諭  長尾 公美子 氏
○分科会(以下の5グループに分かれて実施)   
 ・盲ろう幼児児童生徒を初めて担当したあなたへ
 ・就学前の生活・支援 
 ・卒業後の生活を豊かに 
 ・コミュニケーションについて 
 ・補聴器・人工内耳について  
 ○分科会の報告、閉会式 

【海外情報報告について】
 「英国における盲ろう教育実践に関する報告」と題して、イギリスにおける盲ろう教育に関す
る貴重な情報を報告いただきました。
 日本との文化や教育制度など背景の違いはありつつも、盲ろうの子どもたちの教育において
大切にしている視点や取組に、多くの共通点を見いだすことができました。また、Victoria 
SchoolのMSI(重複感覚障害)部門でつくられている子どもの成長を見るためのカリキュラムプ
ロフィールから日々の教育活動を考えていく示唆をいただくことができました。

       
               (海外情報報告の発表の様子)

【実践報告について】
 今回の実践報告は、徳島県での「先天性盲ろう児者の生涯の学びを支援する地域活動」に
ついて報告いただきました。徳島県盲ろう者友の会ふうわ部会で、継続的に取り組んでいる先
天性盲ろう児者支援について、お好み焼き作りの回を重ねる毎に、盲ろう児者が活動の見通
しをもって取り組んだり、発信したりしている様子を映像とともに報告いただきました。
地域社会で盲ろう児、盲ろう者の活動を支えていくことの大切さや盲ろうの方々の認識や世界
の拡がり、他者との関わりなどから、多くの感動と示唆をいただき、生涯学習や地域社会の有
り様を学ぶことができました。

                   (実践報告の発表の様子)